血管のカベが厚くなることを“動脈硬化”といいます。 おもに血管の老化現象ですが、そこにコレステロールなどの脂質の多い食事や運動不足、高血圧、糖尿病などの要因が加わると、動脈硬化がさらに進行し“プラーク”と呼ばれる血管壁に生じた動脈硬化巣の病変ができます。プラークは、直径が数mm以上の太い血管、すなわち大動脈、冠動脈、脳底動脈、頸動脈、大脳動脈などに生じます。プラークが徐々に厚くなると、血管の内腔が狭くなり、心臓の冠動脈に生じれば狭心症を発症することになります。やがてプラークが破裂すると、ここに血小板が凝集して血栓がつくられ、急性冠症候群、すなわち急性心筋梗塞ないし不安定狭心症となるのです。LDLコレステロールは冠動脈疾患(狭心症、心筋梗塞)の発症と密接に関連しています。LDLコレステロールは基準値 70~140mg/dLです。LDLコレステロール(悪玉コレステロールと呼ばれています)は、酸化されると、血管壁に沈着し、動脈硬化を起こす直接の原因となります。一次予防としては、低リスクでは目標値は< 160 mg/dL、中リスクでは目標値は< 140 mg/dL、高リスクでは目標値は< 120 mg/dLを目標とします。二次予防である、冠動脈疾患(心筋梗塞、狭心症)合併した患者さんのLDLコレステロールの治療の目標値は< 100 mg/dLであり、特に急性心筋梗塞を経験した患者さんのその目標値は<70 mg/dLです。では、冠動脈疾患を引き起こしていないが、冠動脈プラークがある方に関しては、現在のところ、決まった治療目標はありません。私は個人的には目標値は< 120 mg/dLと考えています。これらの値はすべてあくまで到達努力目標であり、一時予防(低リスク、中リスク)ではLDLコレステロール値の低下率が20~30%、二次予防では50%以上も目標値になります。
また、血管に溜まるコレステロールは血液中のLDL コレステロールです。HDL コレステロールは溜まったLDL コレステロールを取り出してプラークの形成を抑制することから、LDL コレステロール値が高く、HDL コレステロール値が低い脂質異常症の患者さんでは、再発リスクが高まります。
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